支援されるかなしみやみじめさについて

 引き続き、『災害の襲うとき』を読む中で、次の一節に出会ってはっとした。ある災害にまきこまれた人の発言。

 他人の古着や不用品、それに鍋釜までもですよ。どうしてもそんな物をもらわねばならなかったんですが、腹が立って、恥ずかしくて・・・。でもそんな気持ちは表には出せず、ニコニコしてお礼を言わねばならなかったんですよ。皆さんの善意は判るのですが、とてもみじめな気持ちでした。与える者は幸いなりですよ。私たちには頂く必要があったんですが、人さまの物に頼らねばならないなんて、嫌なことでした。(p211)

 現在被災地では圧倒的に物資が不足しているので、とにかく支援物資を送り届けることに迷いはあってはならない。しかし受け手の側のこころには、単に安心感やよろこびだけでなく、かなしみやみじめさといった複雑な感情もわき起こるのだということ。そのことは、しっかり心にとめておかなくてはならない。