Brett Kahr著『D.W.Winnicott A Biographical portrait』

 Brett Kahr著『D.W. Winnicott: A Biographical Portrait』を読んでいる。1997年のGradiva Award for biography受賞の一冊。まだ途中だけれど興味深いエピソード満載で、大変面白い。
 クライン派がいかにウィニコットをきらっていたかの実例を四つほど。(pp76-77)
・クラインは、息子Erichの治療をウィニコットに頼むなど篤い信頼を寄せていたが、晩年になると「that awful man」などと罵っていた。
・1960年代後半に、タビストックの児童コースに所属していた何人かの指導者が、訓練生がウィニコットのpublic lectureに参加することを禁止していた。
・タスティンがタビストックでトレーニングを受けていたときの話。「訓練中に言われていたのは、ウィニコットを読むな、ということでした」。
・現在はベテランとなっている治療者の回顧談。「当時ウィニコットに会おうとするなら、それを秘密にしていなければならなかった。あたかも彼が破壊的な地下活動のリーダーであるかのようにとらえられていた」
 いろいろ事情があったのだろうけれど、そこまで嫌わなくてもねえ。

D.W. Winnicott: A Biographical Portrait
D.W. Winnicott: A Biographical PortraitBrett Kahr

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