2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『異邦人』におけるムルソーの誠実さについて

カミュ『異邦人』を読んで思ったこと。昭和41年改版の新潮文庫で読む。 過度の単純化という誹りを覚悟しつつ述べるならば、主人公ムルソーは、ある種の自閉症的世界にに生きている人だ。ムルソーは、母親の死に際しても情緒をうまく体験することができず、泣…

チクセントミハイの精神分析批判

遊びやゲームについての「フロ−理論」で有名なチクセントミハイの主著『楽しみの社会学』に目を通していて、精神分析を批判しているところがあったので引いておく。原題はBeyond Boredom and Anxiety。1975年、Jossey-Bass, Inc.刊。日本版は今村浩明訳、197…

精神分析過程で生じる神経学的変化

著作『Affect Dysregulation & Disorders of the Self 』と『Affect Regulation & the Repair of the Self 』で有名なAllan Schoreの最新論文集『The Science of the Art of Psychotherapy 』から、第4章「Right Brain Implicit Self at Core of Psychoanal…

現実=クソゲー論

多根清史著『教養としてのゲーム史』。ちくま新書。2011年刊。主に日本製のビデオゲームの名作をとりあげて、フリーライターの著者が解説を加えた一冊。インベーダーやパックマンなど、初期のゲームを懐かしく思いだしながら読んだ。 その中の一節。 とある…

情動と感情が生命体にはたす役割

アントニオ・R・ダマシオ著『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』。原書はLooking for Spinoza- Joy, Sorrow, and the Feeling Brain。2003年刊。邦訳はダイヤモンド社から2005年刊行。田中三彦訳。 情動と感情の生命体における位置づけとその…