2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ゲームと犯罪との関係について

「暴力ゲームをやっていると、犯罪者になる」。 そんな短絡的な因果関係で語られることの多い、ゲームと犯罪の問題。思春期の心理に関する一般の方向けのレクチャーを行うと、この問題について時に訊ねられることがある。多くは、ゲームに対して不安視してい…

岡田暁生著、『西洋音楽史』を読む

名著の誉れ高い、岡田暁生著『西洋音楽史』をようやく手に取った。2005年刊の中公新書。 たしかに噂に違わぬ傑作だ。非常に面白い。音楽がつくられる場と、聴かれる場との相互関係の中から、次なる展開をうながすモーメントが生まれ、それが音楽に変化をもた…

 武田百合子著、『富士日記』(上)を読む。

『富士日記』。武田百合子が、富士裾野にある山荘で、夫、泰淳と娘と過ごした日々を書き綴った日記。上巻は、昭和39年から41年まで。 なにか特別な事件が起こるわけではない。淡々とした日常が流れていくだけである。その日常のひとつひとつの出来事を、…

グロデック著、野間俊一編訳著『エスとの対話』

『エスとの対話』を読んだ。これはグロデックの論文のアンソロジーである。ただ野間先生のかなり丁寧な解説が添えられているので、野間先生の著作といったほうがよい構成となっている。 この本を読むと、グロデックが精神分析、心身医学に与えた影響がよく理…

越智道雄、町山智浩著『オバマ・ショック』を読む

これは拾い物の一冊。といったら著者に失礼かな。でも、面白かった。 タイトルは『オバマ・ショック』だが、先日の大統領選挙前後のできごとだけをまとめた本ではない。もっと射程は長く、オバマ大統領誕生にいたるまでの米国近現代の政治史をコンパクトにま…

中根千枝著『タテ社会の人間関係』を読む

組織論がらみで、中根千枝著『タテ社会の人間関係』を再読。 いまや古典となっている、日本社会論の傑作である。 刊行後41年を経過してもなお基本的な理論の骨格は全く陳腐化しておらず、いまなお古典としての命は衰えることはない。せっかくなので前半だ…

組織論をまだ学ぶ

組織論のインプットを引き続き。おもにタビストック関連の論文から。 まずIsabel Menzies Lyth著『Containing Anxiety in Institutions』から歴史を画した論文、『The functioning of social systems as a defence against anxiety』を読む。総合病院の看護…

Obholzer,Roberts編『The Unconscious at Work』を読む

Obholzer, A.とRoberts, V.Z.編『The Unconscious at Work: Individual and Organizational Stress in the Human Services』を読んだ。 Tavistock Clinic Consulting to Institutions Workshopのメンバーによってまとめられた、精神分析的組織論に関する一冊…

アメリカ関連から組織論へ

前回からずいぶん間があいた。臨床が忙しいせいもあったが、それよりもある書き物をしていて、その主題の世界に沈潜していて、ほかのことを書く心の余裕がほとんどなかった。かなり目鼻がついてきて、すこしその世界から抜け出してきたこともあり、最近読ん…