2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 グレゴリ・ジルボーグGregory Zilboorg著『医学的心理学史』を読む

「外来統合失調症ambulatory schizophrenia」の概念で知られるジルボークGregory Zilboorgが著した『医学的心理学史』A History of Medical Psychology(みすず書房)を読んだ。原書は1941年。神谷美恵子氏による日本語版は1958年出版。 ジルボーグは1890年キ…

「坂元薫先生、ついにブレイクか」と色めき立つ

またもやアクセス数激増でびっくり。今回はなぜだか「坂元薫」先生のキーワードでアクセスする人がめちゃくちゃ多い。どうなってるのか? ついに、坂元先生のベタなネタが世間にブレイクしたのか! と一瞬色めき立ったが、そうではないらしい。 どうやら昨夜…

ザビーナ・シュピールラインの人生とユング(3)

前回のエントリーはこちら。 その後、アメリカ行きの船上で、フロイト、ユング、フェレンツィは互いに夢分析を行うが、そこでユングとフロイトの関係に軋みが生じ始めた。フロイトはユングの行う解釈に対して、「私自身を他人に分析させることはできない、私…

ザビーナ・シュピールラインの人生とユング(2)

さて、シュピールラインとユングの関係について。今回もカロテヌート著『秘密のシンメトリー―ユング・シュピールライン・フロイト』などを参照しつつまとめていく。(特に断りのない引用はこの本から) シュピールラインは1904年にユングの治療を受け始めてい…

村上春樹の「イェルサレム賞」受賞スピーチについて

Jerusalem Post誌に受賞スピーチの一部が、記事の中に埋もれる形で切れ切れに掲載されているが、この断片を池田信夫氏がまとめている。とても重要な内容なので、転載しておく。 本当に励まされる内容だ。昨年11月に『海辺のカフカ』を読んだ際のエントリーで…

ザビーナ・シュピールラインの人生とユング

この間、『精神分析療法の道』を素材にして禁欲原則について考えている。過去のエントリーはこちら。 フロイトS.Freud著『精神分析療法の道』を読む - Gabbardの演習林−心理療法・精神医療の雑記帳 フロイトS.Freud著『精神分析療法の道』を読む(2) - Gabbar…

アクセス激増でびびる日曜日

昨日からアクセス数が激増してびっくり。老舗ブログ、ピュアリーさんの『発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)』と裕さんの『裕's Object Relational World』でご紹介いただいたのがきっかけのようですが、いままではいわゆ…

『鶴光のオールナイトニッポン』復活に寄せて

思わずエントリー。 『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』が一夜限りの復活と。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090211-00000000-oric-ent 私は小学校までは関西地方で育ったが、中学からは遠く離れた地方の学校に入学し、そこの寮で生活した。慣れ親…

佐藤俊夫著『倫理学』を読む

なぜだか佐藤俊夫著『倫理学』を読んだ。東京大学出版会、1960年刊。 倫理学の初学者向けのテキストとして刊行された本のようだが、先日レビューを書いた永井均氏の本『倫理とは何か』とくらべると、いかにも教科書然とした一冊だ。永井氏の本が読者に内…

フロイトS.Freud著『精神分析療法の道』を読む(3)

フロイト著『精神分析療法の道』(人文書院刊『フロイト著作集 第9巻 技法・症例篇』所収)について、さらに続ける。 これまでのエントリーは、以下に。 『精神分析療法の道』を読む(1) 『精神分析療法の道』を読む(2) 今回はこの論文でフロイトが示し…

クラインVS美輪明宏

今日は子どもたちを保育園へ送迎中、「どっちが強い」という話題になった。たとえば「ヒグマとホッキョクグマはどっちが強い」、「マリオとルイージはどっちが強い」といったテーマについておしゃべりに興じた。そんな中、「和式トイレと洋式トイレ、どっち…

フロイトS.Freud著『精神分析療法の道』を読む(2)

さらにフロイト『精神分析療法の道』を読んでいく。今日は、フェレンツィの能動(積極)技法についてフロイトが言及をはじめたところから。 フロイトは、彼が許容する「分析家の能動性」として次の二つをあげる。 抑圧されているものの意識化と抵抗の発見の…

フロイトS.Freud著『精神分析療法の道』を読む

すみません、フロイトの技法に関するマニアックな話題が続きます。ちょっと興がのってきたので、しばらく続ける予定。 さて『想起、反復、徹底操作』の次に重要な技法論文である、1919年の『精神分析療法の道』も見ていく。小此木啓吾訳、1983年刊の人文書院…

フロイトS. Freud著『想起・反復・徹底操作』を読む(3)

一昨日から、フロイトの『想起、反復、徹底操作』(人文書院『フロイト著作集 第6巻 自我論・不安本能論』所収)をとりあげている。1914年のこの論文でフロイトが考えていた治療図式は、患者が行動として反復している内的体験を、言語化して意識化すればその…