2011-01-01から1年間の記事一覧

講演録:災害時のこころのケアについて(2)

4 専門家につながるにはどうすればよいのか そのように専門家と協力すればよいということはわかった。しかし、現地でこころのケアの専門家にアクセスしたいと思ったときには、どうすればよいのか。そういう疑問が浮かんでくるものと思います。 その点につい…

講演録:災害時のこころのケアについて(1)

前置き 先日、ある方から「被災地で支援活動する予定のある一般の方を対象にして、被災者へのこころのケアに関する講演をしてほしい」と依頼されました。なんで私が、と思ったのですが、いろいろな行きがかり上、引き受けざるを得なくなりました。「緊急企画…

技術立国日本の精華

人から勧められて、以下の動画を見た。驚愕した。 これはすばらしい技術力だ。この機械、古川機工開発のSWITL(スイットル)という商品らしい。このベタなネーミングが、また泣ける。 うーん、ほしい。うちの病院の精神科に一台おいてもらえないだろうか。明…

支援されるかなしみやみじめさについて

引き続き、『災害の襲うとき』を読む中で、次の一節に出会ってはっとした。ある災害にまきこまれた人の発言。 他人の古着や不用品、それに鍋釜までもですよ。どうしてもそんな物をもらわねばならなかったんですが、腹が立って、恥ずかしくて・・・。でもそん…

被災者は「被災者」ではないということ

地震直後よくつけていたテレビは、もうほとんどつけなくなった。被災地に対して、ひどく侵入的な報道を繰り返しているのが、耐えられなくなってきたからだ。そのかわりNHKラジオをよく聞くようになった。淡々としたアナウンサーの語り口や、ゆったりした構成…

未来を信じること

東北での被害を知り、胸がふさがるような思いでこの3日間を過ごした。ふとしたときに僕の脳裏には、テレビでいくどとなく放映された映像−圧倒的な力で街を完全に破壊し尽くす津波の姿が繰り返しよぎってしまう。そして、僕のこころの深い部分では怯えと悲し…

プラトン著『ティマイオス』

ヨーロッパ思想の発展に決定的な影響力を与えた、プラトンの代表作の一つ『ティマイオス』を読んだ。プラトン全集12巻所収。訳者は種山恭子氏。岩波書店から1975年刊。 冒頭にソクラテスは出てくるが、すぐに引っ込んでしまい、その後ほぼ全編にわたってティ…

チャールズ・テイラー著『<ほんもの>という倫理』

自分自身に忠実であろうとする、つまり「ほんものauthenticity」であろうとすることの倫理的意義を問い直した一冊。翻訳は2004年、産業図書から。原書は1991年刊。著者チャールズ・テイラーは、「これからの正義の話をしよう」で一躍有名になったマイケル・…

フロイト著『無常』 

フロイト全集14巻(岩波書店)の『無常』(本間直樹訳)を読む。1915年執筆、1916年発表の小品。 フロイトは友人(ザロメと推測されている)と詩人(リルケ?)とともに、「花咲き乱れる夏の風景のなかを散歩」した。その際、詩人が「自然の美しさ・・・を…

聖アウグスティヌス『告白』

あけましておめでとうございます。 昨年は7月頃まで断続的に更新していたものの、いったん中断し、しかし12月から発作的に再開するという気まぐれなホームページ運営となりました。おそらく今年も、昨年同様、気ままな更新になると思いますが、お暇であれ…