3人のおばちゃんが電子辞書の話題で盛り上がる災難

 精神分析心理療法フォーラム参加のため、早朝に起床し一路神戸へ。
 混んでいる電車で四人がけの座席の一席をなんとか確保し、電子辞書を片手にBritton著『Sex, Death, and the Superego: Experiences in Psychoanalysis』を読み進める。大変面白く集中して読む。歴史的な視点と事例理解の視点とが著者の中でしっかりと融合していて飽きさせない。
 が、途中の駅で私以外の3人が降車して状況が一辺した。空席を見つけたおばちゃんがどかどかと荷物を置き、「ここ空いてるえー」とでかい声で叫ぶと、仲間のお二人がどかどかとやってきて私を囲んで座った。やばい。そう本能的に思ったが、車内は混んでいて立つこともできない。
 そうこうしているうちに発車。するとおばちゃんたち、しゃべるしゃべる。エンジン全開で、もう止まらない。最初は「座れて良かったねー」などと普通の日常会話であったが、突然電子辞書の話題になる。私が電子辞書を用いて本を読んでいるのが目に入ったのだろう。すると「ジャパネットたかだ」で買った、だの、「買ったら使えない」だの電子辞書の話でやたら盛り上がる。そんな中で電子辞書を使いながら本を読むのは不可能。やむをえず電子辞書をしまいこみ、原書だけでとりあえず読み進めることにした。すると突如話題が変わって「英語って難しいわー」と英語談義に。かんにんしてくれー、と心の中で叫ぶが、もう落ちついて読める状態でない。ひどい災難だった。

 フォーラムは充実した内容であった。とても勉強になったし、考えさせられた。と同時に、もっと考えねばとも痛感した。
 帰路は今日のフォーラムに関していろいろと思いを巡らせたが、まだ断片的なものばかりなのでブログに書くほどのまとまりのある思考には至っていない。いろいろ考えるうちに煮詰まってきてしまう。しかしBrittonの続きを読む気になれず、ちょっと気分を変えようと断片をつないでくれそうな本を書棚から取り出して読む。プラトン著『メノン』。すごく面白い。これってこんな面白かったか、と思いながらぐいぐい読む。勢いで『ゴルギアス』も。