主張撤回:マギー・ミネンコのブームはこないでしょう

 その後、研修医のYくんに、早速マギー・ミネンコのことを話してみた。が、「誰っすか、それ」ときょとんとした表情。そして「マジック漫談のマギー司郎の弟子かなんかっすか」という。おいおい、本当に知らないのか。ほら、うわさのチャンネルで「乳モメ〜」といってただろう、と話しても全く通じない。ジェネレーションギャップの大きさに愕然とする。これはまずいと思った私は、指導医としての役割を保たねばと思い、「とにかく数年以内にブレークするはずだから、しっかりチェックしておくように」と少し厳しく指導しておいた。

 すると夕刻に、医局においてあるコンピューター前で、Y先生に呼び止められた。「マギー・ミネンコわかりました、これですね」と言って、You Tubeのビデオを再生して見せてくれた。(You Tubeの画像はこちら)。おお、これは懐かしい。「燃えるブンブン」だ。マギー・ミネンコが動いているぞ、と少々興奮しつつ見入っていると、横からY先生が冷ややかに「これって、ブレイクしないでしょ」とのたまう。不意をつかれた私は返事に詰まって、「そ、そうかな」とだけ言うと、さらに「第一、面白くも何ともないですよ、この人、それにブンブンってなんですか」と一撃。うーん、確かに歌っているところをみてもビジュアル的にパンチが弱い。これじゃ、ただの元気なお姉さんだ。
 どうやら昔感じたマギー・ミネンコの魅力は、「うわさのチャンネル」という番組の濃い人的布置の中で、健康的な若い女の子が強烈なリアクションをする、ということで輝いて見えたのであって、その布置のないところでマギー・ミネンコだけ取り出しても魅力は出てこないのだ。しかしチャダとはキャラの質が違うという点に思いが至らず、「チャダがはやったんだからマギー・ミネンコのブームも来るぞ」という単純な思考に陥った私が愚かであった。うーん、反省。
 ということであっさり予想は撤回。マギーミネンコのブームはこないでしょう。

 さて、読書はミル『自由論 (光文社古典新訳文庫)』を引き続き。読む中で、しばらく放置していた書きかけの精神療法に関する論文を、補強するような着想がわいた。その着想を活かすべく、論文をていねいに書きなおしていく。