忙中閑無し読書録

 なんだかめちゃくちゃ業務が忙しいのと、書き物に追われていて、ブログ更新もままならない。 
 ということで、今回は手短かに読書録だけを。 
 最近アメリカをテーマにいろいろと本を読んでいるが、その流れで香川知晶著『生命倫理の成立―人体実験・臓器移植・治療停止』を読んだ。勁草書房、2000年刊。米国生命倫理の展開が、米国社会の移り変わりとリンクさせられながら、詳述された一冊。著者は、事実をひとつひとつ積み上げながら手堅い筆致で生命倫理史を描きだしていく。なかなかの好著。
 ついで、香川知晶著『死ぬ権利』を再読。これも勁草書房、2006年刊。カレン・アン・クインラン事件の過程を詳細に追った一冊。好著。
 それからアメリカ人による生命倫理史も確認したくなり、デイヴィッド・ロスマン著『医療倫理の夜明け―臓器移植・延命治療・死ぬ権利をめぐって』へ。原本は1991年刊。日本語訳は晶文社から2000年刊。これは、読み物としてなかなか面白い一冊だった。
 いろいろと医療倫理に関する本を読む中で、「原則主義」についてビーチャム、チルドレスがどう考えていたか確認したくなり、『Principles of Biomedical Ethics (Principles of Biomedical Ethics (Beauchamp))』の序章をチェック。やはり良く書けていてうならされる。不朽の名著で有り続けるだろう。
 最後に、鶴見俊輔著『アメリカ哲学』。元本は1950年刊。鶴見さんは1922年生まれだから、28才のときの一冊ということになる。若書きとは思えない視野の広さと公平さが印象的。

 ということで、何のあいそもありませんが、本日はこの辺で。