福沢諭吉『新訂 福翁自伝』

 岩波文庫の『福翁自伝』。1978年の新訂版。
 仕事の中でいろいろと問題につきあたる中で、つい弱気の虫が起こりがちな自分を福沢先生に鼓舞してもらおうと、久方ぶりに再読してみた。この本にみなぎる彼の勇気と自信と豪放さに触れると、人からの評価や批判を気にして小心翼々としている自分が、いかにくだらないことで悩んでいるかを痛感させられる。たとえばこんな一節。

・・・人間万事無頓着と覚悟をきめて、ただ独立独歩と安心決定したから、政府に依りすがる気もない、役人たちに頼む気もない。・・・人に交わるには出来るだけの誠を尽くして交わる、ソレデモ忌と言えば交わってくれなくても宜しい。・・・此方の身にかなうだけを尽して、ソレカラ上は先方の領分だ。誉めるなり譏るなり喜ぶなり怒るなり勝手次第にしろ。・・・(pp297-298)

 やっぱりこういう思い切りの良い態度で、生きてかないとだめだよなあ、と反省。

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)
新訂 福翁自伝 (岩波文庫)福沢 諭吉 富田 正文

岩波書店 1978-10
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