現実=クソゲー論

 多根清史著『教養としてのゲーム史』。ちくま新書。2011年刊。主に日本製のビデオゲームの名作をとりあげて、フリーライターの著者が解説を加えた一冊。インベーダーやパックマンなど、初期のゲームを懐かしく思いだしながら読んだ。
 その中の一節。

 とあるマンガ(神のみぞ知るセカイ)に「現実なんてクソゲーだ!」というセリフがあった。(p152)

 この表現は、おもしろい。確かにゲームの中では、なんらリスクを背負うことなく英雄として活躍したり、罪悪感を感じずにエイリアンを攻撃したりできるけれど、現実の世界では、英雄めいたはなばなしい活躍ができることもないし、何か新しいことをしようと思っても、邪魔が入って思うように事がすすまないことばかりだ。
 そう思うと、現実は確かにクソゲー、あるいは無理ゲーだともいえそうだ。『たけしの挑戦状』は、その意味においてリアルなゲームだったのかもしれない。たけし、おそるべし。

教養としてのゲーム史 (ちくま新書)
教養としてのゲーム史 (ちくま新書)多根 清史

筑摩書房 2011-08-08
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