アメリカ関連から組織論へ

 前回からずいぶん間があいた。臨床が忙しいせいもあったが、それよりもある書き物をしていて、その主題の世界に沈潜していて、ほかのことを書く心の余裕がほとんどなかった。かなり目鼻がついてきて、すこしその世界から抜け出してきたこともあり、最近読んだ本のことなど、ざざっと記しておきたい。

 まず何と言っても、村上春樹さんの『1Q84』。心を深く動かされ、その後しばらく日常生活を過ごしていても、彼の小説世界の影響を受けて世界が違って見えて困った。この本はあらためてエントリーをあげる予定。
 この本のつながりで、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』『やがて哀しき外国語』を再読。また村上さんの最新インタビューの『モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号』も読んだが、残念ながらこのインタビューは今ひとつ。

 それから、まだアメリカ関連の本を読んでいる。新書では、以前読んだ、仲正昌樹著『集中講義!アメリカ現代思想』を再読。やはりよく書けている。また渡辺将人著『見えないアメリカ』も秀作。アメリカの政治状況がワシントンからではなく、大衆の側から描かれており、普段はそうした視点で理解することがないだけに、非常に面白かった。
 あとは、三浦俊章著『ブッシュのアメリカ』、野村達朗著『「民族」で読むアメリカ』も、なかなかよませた。
 総花的な本として矢口祐人、吉原真里編著『現代アメリカのキーワード』、それから『21世紀アメリカ社会を知るための67章』も。
 それから、ある医療法人から組織の精神的健康に関するレクチャーを頼まれて、あらためて組織論やリーダーシップ論について考え中。
 まず経営学からの代表的なテキストということでNorthouse著『Leadership: Theory and Practice』を読んだ。情報がコンパクトにまとまっているが、深みが足りない。病院に特化したリーダーシップ論であるManion著『From Management to Leadership: Practical Strategies for Health Care Leaders』も目を通すが、うーん、これもいまひとつ。これらの本が浅く感じるのは、人間心理の深層を踏まえた理解がなされていないからだ。
 ということで、結局タビストック関連の本に依拠しつつ、レジメをまとめる予定。