大つごもりに樋口一葉の『大つごもり』を読む

 ということで県下で一番の書店に行って、本を買いこんできた。というより、「買いこんできてしまった」というのが正しい表現だろう。書店にいって本を手にとりはじめたら、気分が高揚し、すぐにはいらない本までいろいろと買ってしまって、当初考えていたよりも随分予算オーバーしてしまったからだ。
 もちろん自制しきれなかった自分の弱さゆえの結果である。でも、こうなった原因の一つは、買い物カゴにあるのではないだろうか。最近の本屋はスーパーのようなカゴをおいているが、このカゴはくせものだと思う。なぜなら、スーパーで特売品をどんどんカゴに放り込むのと同じ感覚で、ついカゴに本を放り込んでしまうからだ。しかしスーパーと違って本は値が張る。その事実をすっかり忘れたままレジに行き、そこで初めて金額の大きさに気がつき青ざめてしまうのだ。
 とにかく書店の買い物カゴ、これは本当に危険な代物なのだ。だから書店のカゴは禁止すべきだ。
 そこで来年は個人的に「書店カゴを使わないぞ運動」を始めることにした。本屋にいってカゴを発見したら、その前にたって「絶対カゴなんて使わないぞ」とつぶやきつつカゴをにらみつける、という運動だ。趣旨に賛同された方は、ぜひ書店で同じアクションをとっていただければ嬉しい。私も、次にカゴの置いてある大型書店に行く前の日まで、この運動を続けることにした。

 さて今年はブログを本格的に稼働させ始めた年であった。書き続けてみて、自分の思考にリズムを刻んでくれる面白いメディアだという認識を持った。だから来年もこの調子で続けていきたい、と思っている。
 ただ、自我肥大に陥る危険性を大いにはらんだメディアであるとも痛感した。他者を批判することからもたらされる自我肥大は本質的に空しいものであることを、常に心に留めおいて来年もブログを続けていきたい。

 なお今日はヘッセの『シッダールタ』と、大晦日ということで樋口一葉の『にごりえ・たけくらべ』から「大つごもり」を読んだ。いずれもすばらしかった。一年の最後によい読書ができた。

 では、来年も良い年でありますよう。