ヘーシオドス『仕事と日』を読む

 論文がほぼ完成したこともあって、少し気持ちに余裕がでてきた。そこで仕事とは全く関係のない本を読むことにした。選んだのは、紀元前8世紀ギリシャの詩人、ヘシオドスの『仕事と日』。
 ヘシオドスは、遊び人の弟ペルセースに対して勤勉を勧めたり、怠惰を戒めたり、嫉妬にかられぬよう諫めたりする。その間にパンドラの箱にまつわる話や、農耕や航海などに関するヘシオドスの意見が挿入される。全体として、特になんてことのない内容だが、当時の労働や生活の様子がこまかく描かれており、当時の人々の姿が彷彿として、とても楽しい。
 しかしいつもの癖で、本筋に関係のないくだらない記述につい目がいってしまう。

陽に向かい、立ったままで放尿してはならぬ。・・・また前をはだけてしてもいかぬ。・・・分別のある男ならば、しゃがんでするか、堅固に囲った中庭の壁の傍らまで行ってする。pp95-96

 これはショックだ。立ってする俺は、分別のない男だったのか。

ヘーシオドス 仕事と日 (岩波文庫)
ヘーシオドス 仕事と日 (岩波文庫)Ησιοδου

岩波書店 1986-05
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