坂元薫先生の講演のベタさに感激

 引き続き学会。
 ランチョンセミナー。東京女子医科大学、坂元薫先生の『気分障害の臨床をめぐる最新の動向』に出席。気分障害に関する最新の知見が、わかりやすくかみ砕かれて語られ、勉強になった。
 しかし坂元先生の講演は数年ぶりに拝聴したが、数年前に比べて本題よりもネタへのこだわりが強くなってきた印象が強い。今回は1時間の講義のうち、もう3分の1はネタの時間だったんじゃないか。たとえば今回は、ある抗うつ薬の「dual action」ということについて話されていたかと思うと、突然ムード音楽が流れはじめた。坂元先生が「一つより二つ、一人より二人、と言えばこの人」と語るとともにスクリーン上に現れたのが、宗茂、猛兄弟のマラソン中の写真。このあまりの強引さに思わず「くだらねぇー」と苦笑してしまう。こういうベタなネタに苦笑してしまう自分が悔しい。さらに坂元先生、写真の顔あたりにレーザーポインタをさして、「どうしてここまで苦しそうな顔で走るんでしょうね」と宗兄弟をイジることも忘れない。そして写真を閉じて、次のシリアスな話題に突入するときの「間」の取り方も絶妙になってきた。数年前はここまでつきぬけていなかったぞ。どこまでいくのか、坂元薫先生。こうなりゃ、もういくとこまでいってほしい。

 学会を終えて東京駅へ。一旦改札から外へ出て八重洲ブックセンターに入り、心理、思想、歴史コーナーに行く。活字中毒としては至福の時。数冊の本を購入する。その後、八重洲口地下街へおみやげを購入に向かう。道すがら「立ち食い寿司」を発見。すげえ。今はこんなのがあるのか。この調子なら、そのうち「立ち食いフルコース」、「立ち食い懐石」、「吉兆立ち食い店」なんてのもできるんじゃないか。

 読書はJanet Sayers著『Kleinians: Psychoanalysis Inside Out』。2000年刊。まだ途中だが、面白い。特にJoan Riviereの章が知らないことが多かったこともあって、興味深かった。