覚え書き(精神医学)

ダニエル・スターン死す

発達心理学者ダニエル・スターンが亡くなった。享年78才。The New York Times誌の死亡記事はこちら 僕は、彼の著作にはいつも関心を寄せてきた。それは彼の著作には常に、乳幼児のこころを理解する視点の確かさと、人間の発達や変化の本質をつかみ、自らの…

ビオンが思い出すインドの風景

1897年にインド北部の街Muttraで生まれたビオンは、8歳で故郷を離れて英国のboarding school - Bishop's Stortford Collegeに入学する。これはヴィクトリア朝で確立された教育習慣が反映した決断であり(The Work of W.R.Bion p2)、その背後には立派なGentle…

メスメルの桶のカラー写真

有名なメスメルの桶(バケ−)のカラー写真を見つけた。現存する唯一の桶とのことである。せっかくなので、紹介しておく。 写真はこれです。 うわー、すごい迫力だ。 なお、引用元のサイトはこちら。 メスメルは、この桶を使ってどのように治療していたのだろ…

そして神戸の精神神経学会(2)

精神神経学会の二日目。昨日のようにくだらないネタをいれる時間がないので、ざっとまじめな感想だけを。 国際シンポジウム『The Hoped Horizon of Psychiatry』 午前中は、昨日からの流れで、国際シンポジウム『The Hoped Horizon of Psychiatry』に参加し…

そして神戸の精神神経学会

現在、神戸で開催されている精神神経学会に参加中。会期は三日間だが、都合で今日と明日のみの参加。 ここで敢えて告白しておく。僕の好きな音楽のジャンルは、ムード歌謡である。そしてカラオケの十八番は「敏いとうとハッピー&ブルー」の『よせばいいのに…

陸軍面接官に土居健郎先生が述べた危険な発言

昨日の日本経済新聞の夕刊に、土居健郎先生についての「追想録」が掲載されていた。日経の特別編集委員の方が執筆された、『「甘え」の構造』の紹介を軸にした記事である。 ここに先生の最後の日々の様子が紹介されている。 亡くなる半月前まで、東京・世田…

緩和ケア病棟の天井について

本日の夜は、緩和ケアチームの定例カンファレンスがあった。 ある患者さんが呟いた「病院で天井ばかり見て過ごすのがつらいから、家に帰りたい」という発言が報告されるのを聴いて、「そういや、天井のことってあまり考えてこなかったな」と気がついた。 中…

土居健郎先生の訃報に接して

土居健郎先生の訃報に接して、悲しみや寂しさ、それ以外にもさまざまな感情が一気に湧いてきて、それを正確に表現しようと試みたのだけれど、どんなに言葉を費やしてもうまく書き記すことができない。断片的な思いだけれど、とにかく試みに綴っておく。 僕は…

ゲームと犯罪との関係について

「暴力ゲームをやっていると、犯罪者になる」。 そんな短絡的な因果関係で語られることの多い、ゲームと犯罪の問題。思春期の心理に関する一般の方向けのレクチャーを行うと、この問題について時に訊ねられることがある。多くは、ゲームに対して不安視してい…

カーネル・サンダース神社設立建白書

あまりのベタさ加減におもわず食いつく。このネタ。 http://mainichi.jp/select/wadai/graph/20090311/?link_id=RSH02 非常に興味深いニュースだ。 というのは、このニュースに現れる人たちの発言を追っていくと、御霊信仰に典型的に見られる人間心理の布置…

「坂元薫先生、ついにブレイクか」と色めき立つ

またもやアクセス数激増でびっくり。今回はなぜだか「坂元薫」先生のキーワードでアクセスする人がめちゃくちゃ多い。どうなってるのか? ついに、坂元先生のベタなネタが世間にブレイクしたのか! と一瞬色めき立ったが、そうではないらしい。 どうやら昨夜…

ベタなネタの治療的効用について

それはともかく、坂元薫先生のベタなギャグについての続き。坂元先生の講演の記録は以下のリンクを。 坂元薫先生の講演のベタさに感激 - Gabbardの演習林−心理療法・精神医療の雑記帳 今日は、治療者がベタなことをいうことは、治療的に有効だということにつ…

坂元薫先生の講演のベタさに感激

引き続き学会。 ランチョンセミナー。東京女子医科大学、坂元薫先生の『気分障害の臨床をめぐる最新の動向』に出席。気分障害に関する最新の知見が、わかりやすくかみ砕かれて語られ、勉強になった。 しかし坂元先生の講演は数年ぶりに拝聴したが、数年前に…