2008-01-01から1年間の記事一覧

「現代の家族」レクチャーの仕込み開始

レクチャー「現代の家族」への仕込みを始める。今回はあまり残された時間がないので、とにかく集中してやる。 まず現代のエスプリ420、畠中宗一編『母子臨床再考』をざっと読む。なかなか面白い。平井正三氏が良い論考を書いている。雑誌、精神療法2003年…

『思春期レクチャー』終了、そして山上千鶴子氏

「思春期レクチャー」終了した。非常に熱心に聴講していただき嬉しかった。レクチャーの構成をせっかくだから書き残しておこう。 まず最初に、昔の思春期と今の思春期の社会的意味がどのように異なっていたのか、という歴史的考察を行った。そして、思春期の…

「思春期レクチャー」準備ほぼ終了

「思春期レクチャー」準備はほとんど終わった。結局、読んだ本はほとんどつかわず。宮本常一の『家郷の訓』と無着成恭編の『山びこ学校』に少し触れるくらい。でも頭の中に降り積もった知識や考えは、また活かせるようになるだろう。 夜、ビオンW.R.Bion著『…

「思春期レクチャー」の用意を進める

今日も診療。 インプットはもう終わり。取りそろえた思春期関係の書籍は全て本棚に戻した。あとは金曜日のレクチャーまで、ひたすら構成と内容を練っていく。集中してやる。 とはいえ、机上に何の本もないのは寂しいので、本棚を物色。ふと「読んで、読んで…

小此木啓吾編『青年の精神病理2』を読む

そろそろインプットをやめてレクチャーの中身を考えねばと思っているのだが、勢いでもう少し。 小此木啓吾編『青年の精神病理2』を読んだ。弘文堂刊『青年の精神病理』全三巻のうちの第2巻。1980年刊。1978年に行われたワークショップの内容をもとに構成さ…

マイクル・バリント『スリルと退行』を読む

本日も診療と書類記入の一日。しかし精神科は書類が多すぎるな。 その後、マイクル・バリント著、中井久夫・滝野功・森茂起訳『スリルと退行』。原題はThrills and Regressions。1959年刊。名高いThe Basic Fault(邦題『治療論からみた退行』)が1968年刊だ…

ポイントカード地獄

今日は昼にL.L.Beanへ寄ってオックスフォード・シャツを3枚購入。そこですすめられるがままに、ポイントカードを作ることになったが、カードケースがポイントカードでパンパンになってきてしまった。ドラッグストア、スーパーのライフ、ビックカメラ、ミド…

七五三という儀式の現代的意義

本日は七五三で近くの神社へ。なんというか、「珍妙」としかいいようのない儀式であった。 まず祈祷申込書に氏名、住所を記入した上で、社務所で初穂料とともに提出。すると複写された「伝票」とともに、オレンジ色の「おみやげ引換券」と緑色の「おもちゃ引…

「滝川一廣」に出会う喜び

診療の一日。ぽかぽか陽気で、診察室も暖かかった。 夕刻、インフルエンザ・ワクチンの注射を左上腕に。しんどくなりませんように。 夜、滝川一廣著『新しい思春期像と精神療法』。滝川氏の名前は知っていたが、エランベルジェの『無意識の発見』の訳者リス…

ひたすらインプットの日々

診療の後で、本日は李啓充氏の講演会に参加。「医療崩壊」に関するテーマであった。静かな、そして理性的な語り口が印象的ではあった。主張は理解できたが、勇ましい善悪二元論的な主張であり、その主張の正当性に対して一定の留保をつけながら聴くべきだと…

忙しかった一日

今日は診療やカンファレンスに加え、私事でもばたばたした。それでも時間をぬって、ひたすら本を読む。 笠原嘉著『アパシー・シンドローム』。斎藤環氏の解説は、笠原先生への敬意がこめられた、力のこもったいい文章だった。 川谷大治著『思春期と家庭内暴…

城之内早苗の人身事故によせて

診療が予定より早く終わり時間が大きくとれた。チャンスなので、がしがし本を読みメモをまとめる。 まず精神科治療学増刊号『児童・青年期の精神障害治療ガイドライン(新訂版)』に目を通す。私も、そんなにスタンダードからはずれたことをしていないらしい…

『異文化としての子ども』を読む

診療に追われ、書類記入に追われた一日。 夕刻、福祉事務所職員の方と会って、ケースに関する聴取を受けた。しかしこの職員の方の関心が、生活保護の「適正化」だけに集中していることにひどく落胆した。なるほど、財政が危機状態にあることはわかる。しかし…

ブログの意義を理解しはじめた

今日は何かしたような、しなかったような一日。 日記をはじめてブログというツールの価値がようやくわかってきた気がする。やはりいままでは、他者の目を気にしすぎていた。論文であれば確かに他者の目、あるいは第三者的な視点を十分に内在化する過程が必要…

弘前を巡る

起きるなり部屋のカーテンを開けると窓外に岩木山。頂は黒い雲に隠されてはいるが、その山容はやさしく、雲の切れ間から山裾をまだらに明るくする陽光がドレープのたおやかさを強調している。きっとこの山は、津軽の人たちの心に大きな安定感と誇りを与えて…

弘前で「品」を考える

20年ぶりの弘前。弘前駅から土手町をまわり、岩木山をのぞみつつ弘前城へ。そして講演会場。 20年前は「美人の多いところだなあ」と感激したが、今回も同じ印象。前はただ感激しただけだったが、今回なぜ美人にみえるのかと少し考えながら街を歩いて、あるこ…

「真率さ」の意義

ようやくDNARに関する文書の第1案が完成し、議論の俎上に乗せた。かなりの議論になったが、どの意見もとても勉強になる。現場の看護師さんが強く反応してくれて、手応えを感じた。 やはりAutonomyについて、代理決定についてなど、もっとつめて考えなくては…

カレーうどん、小室哲哉、『私の個人主義』

日中は、ひたすら診療。 遅い昼食はカレーうどん。つるつるすすりつつ、店においてあったスポーツ新聞で『小室哲哉、虚飾と転落の人生』とかいう題の特集記事を熟読。 その後、DNARについてさらにまとめていく。何とか目鼻がついてきた。 夜、何となく読…

自己決定、真率さ、死ぬ権利

業務や診療の合間を縫って、「DNAR指示」についてひたすら考えをまとめていく。「患者の自己決定」は何にも勝るプライオリティを有しているわけではない。Autonomyに依拠せず、考えをまとめること。 今日の昼、ふと想起したこと。 精神分析学会で、ある…

公園、ビッグマック、中井久夫

休日。近くの公園に散歩する。木々の色づきや池の面の移ろいに心が癒される。自然のもつ治癒力をどう臨床に位置づけるか。 昼食はマクドナルド。調理の希望を聞いてもらえると最近知ったので、ビッグマックセットを頼みタルタルソースを抜いてもらう。しかし…

精神分析、良い死、無益な生

今日から日記をはじめてみることにした。今までいろいろ試みたが、ブログというツールになじんだ内容も文体も構築できておらず、うまく使えている気がしない。多分、読み手に近づこうとし過ぎているのだと思う。しかし捨てがたいツールなので、もう少し自分…

Bernard Lo著『Resolving Ethical Dilemmas-A Guide for Clinicians』、第18章「DNR指示」についての要約

さらにDNRに関わる基本的知識をまとめる。 今回は、Bernard Lo著『Resolving Ethical Dilemmas-A Guide for Clinicians』の第18章「Do Not Resuscitate Orders」をまとめる。Resolving Ethical Dilemmas: A Guide For CliniciansBernard, M.D. Loおすすめ…

「遷延性植物状態」に対する医療行為について、のまとめ

DNRについて考える必要が出てきた。まず基本的な知識の整理のために、グレゴリー・E・ペンス『医療倫理』(みすず書房)、第2章「昏睡」をまとめておく。 この『医療倫理』の原題は、Classic Cases in Medical Ethics。医療倫理の概説書というよりも、あくま…

自己決定について

必要があって、「自己決定」について少しまとめておきたい。 関連するサイト Autonomy - Wikipedia Personal Autonomy (Stanford Encyclopedia of Philosophy) Autonomy in Moral and Political Philosophy (Stanford Encyclopedia of Philosophy) AUTONOMY …

Stephen A. Mitchell and Margaret J. Black著『Freud and Beyond』

ミッチェルの『関係精神分析の視座』が存外に面白かったので、彼の次の著書も手に取ってみた。Freud and Beyond: A History of Modern Psychoanalytic ThoughtStephen A. MitchellBasic Books 1996-08-08売り上げランキング : 44353Amazonで詳しく見る by G-…

北中淳子著「鬱のジェンダー」

臨床精神医学2008年9月号の特集「うつ病周辺群のアナトミー」にざっと目を通した。興味深く読んだが、中でも医療人類学者である北中淳子氏の「鬱のジェンダー」(臨床精神医学37(9):1145-1150,2008)という論文が読ませる。 過去発表された北中氏の二論文の要…

S.A.ミッチェル著『関係精神分析の視座-分析過程における希望と怖れ』

原書は1993年に米国で刊行されている。原題はHope and Dread in Psychoanalysis。ミッチェルの翻訳を過去2冊刊行している横井公一氏と、辻河真登氏の監訳によって、2008年5月に邦訳が刊行された一冊である。関係精神分析の視座―分析過程における希望と怖れS.…

宮岡等著「口腔内セネストパチー」

必要があって、セネストパチーについてまとめておく。 宮岡等氏の「口腔内セネストパチー」(精神科治療学12(4);347-355,1997)という論文が簡潔でよくまとまっている。その中の一部を抜き出して要約する。 1 概念 身体の様々な部位の異常感を奇妙な表現で訴…

S.A.ミッチェル著『精神分析と関係概念』

米国ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所で活躍した精神分析家、ミッチェルによって書かれたこの本は、治療者と患者の関係性を軸にして、精神分析的な治療関係を広角的に捉えなおした、米国精神分析において重要な位置を占める一冊である。精神分析と関…

マートン・ギル著『転移分析』

マートン・ギルの主著『Analysis of Transference』の第一部の邦訳。彼の考える転移分析の姿とその理論的根拠を述べた一冊である。いずれ刊行される予定の第二部では臨床事例が集められており、理論と臨床との連結がなされる。 約200ページある一冊だが、…