日記

藤山直樹編『ナルシシズムの精神分析』を読む

藤山直樹編『ナルシシズムの精神分析』を読んだ。2008年10月刊。 狩野力八郎先生の還暦を記念して刊行された論文集で、狩野先生に指導をお受けになった方々の筆になる論文が収められた一冊である。一つ一つの論文は、堅苦しくなく自由な体裁で書かれている。…

睡魔には勝てず

今日は寒い一日。 狩野力八郎先生の還暦記念論文集『ナルシシズムの精神分析』(藤山直樹編)を本日は読んだ。ざっくりレビューを書こうと思って準備を進めたが、さっきから睡魔が襲ってきたので、完成させることができません。ああ、ねむい。アップは明日の…

「現代の家族」レクチャーの一人反省会

「現代の家族」レクチャー終了。感想文は好意的なものがほとんどだった。しかし話している側からすれば、今回は手応えがなかった。残念。終わってから一人反省会。 話の中身をまとめておく。 われわれが自分たちの家族のことを考え、何らかの価値判断を下す…

レクチャー準備と漱石と

昨日「突撃〜!」と勇ましく読み始めた上野千鶴子氏の『近代家族の成立と終焉』。力作で面白いのだが、気がつけばもうレクチャーが明後日。もう時間切れなので、次の機会に、とあいなった。今回は縁がなかった、ということで書棚にしまう。さようなら〜。 と…

飲み会で老荘思想と「空」について語る

今日は事例検討会&飲み会。飲み会で知り合いの精神科医とカニの石焼きをほおばりながら、老荘思想と仏教の「空」について話し合った。大いに刺激を受けた。いまの連続レクチャーが終わったら勉強しよう。読書は、山田昌弘『新平等社会―「希望格差」を超えて…

あほブーム到来か

今日は山田昌弘著『迷走する家族―戦後家族モデルの形成と解体』(2005年刊)をつっかえつっかえ読む。なぜつっかえつっかえ読んだかというと、立ち止まって考えるところが多いからだ。良書。 ところで昨日、ABT(aho-based therapy)に関するあほな話を書…

ベタなネタの治療的効用について

それはともかく、坂元薫先生のベタなギャグについての続き。坂元先生の講演の記録は以下のリンクを。 坂元薫先生の講演のベタさに感激 - Gabbardの演習林−心理療法・精神医療の雑記帳 今日は、治療者がベタなことをいうことは、治療的に有効だということにつ…

親鸞と罪悪感について

今日は法事。 我が家は浄土真宗で、僧侶に導かれるままに親族一同で正信念仏偈を誦経する。今までしっかり読んだことがなかったので、読経の合間にざっと内容に目を通したが、阿弥陀如来の位置づけや浄土の説明、中国浄土の高僧や、また源信や法然に関する説…

坂元薫先生の講演のベタさに感激

引き続き学会。 ランチョンセミナー。東京女子医科大学、坂元薫先生の『気分障害の臨床をめぐる最新の動向』に出席。気分障害に関する最新の知見が、わかりやすくかみ砕かれて語られ、勉強になった。 しかし坂元先生の講演は数年ぶりに拝聴したが、数年前に…

ピカソを見にいく。

本日は幕張で開催の総合病院精神医学会へ。 シンポジウム「総合病院精神医療の倫理綱領作成に向けて」は大変勉強になった。とりわけ慶応義塾大学文学部の奈良雅俊先生のご発表に大いに啓発された。ランチョンセミナーは「ADHDの病態と治療」。齋藤卓弥先…

研修会でちかれたびー

今日は一日ずっと研修で会場に缶詰。ちかれたびー。 落合恵美子『21世紀家族へ』。読み始めは面白かったのだが、後半に入ってどうも納得できない点が増えてきて、不満が残った一冊だった。いわゆる近代家族を相対化し「女は家庭に」といった良妻賢母神話から…

香山リカ著『親子という病』、斎藤環著『母は娘の人生を支配する』などを読む

「家族」をテーマにした一般向けの書籍にも目を通してみる。 香山リカ著『親子という病』、2008年9月初版。この著者の本は初見。ところどころ才気を感じるが、全体としては厳しい出来栄えといわざるをえない。情報と思考の断片がパッチワークのように継ぎ合…

江藤淳『成熟と喪失』を読む

本日は、江藤淳著『成熟と喪失―“母”の崩壊』を読んだ。前読んだときには、江藤がエリクソンにこれほどまでに依拠して論じていたとは気づかなかった。エリクソンに依拠することでこの評論に強靱な理論的支柱が与えられたが、同時に当時の精神分析が有していた…

小此木啓吾、北山修編『阿闍世コンプレックス』を読む

今日も小此木啓吾、北山修編『阿闍世コンプレックス』を引き続き。この本はじっくり取り組んだ。充実した内容の一冊であったが、私にとってこの本の白眉は、第6章「阿闍世コンプレックスと古澤の人間的背景」にあった。古澤に師事した木田惠子氏の『問題は…

歯垢怪人の恐怖

今日はショッピングセンターで買い物。その中央広場で「デンタルフェアー」が開催されていて、虫歯チェックや歯磨き指導などが行われていた。その中に、拡大カメラでテレビ画面に口の中を歯を映しだすコーナーがあって、おじさんが自分の口の中をテレビで映…

「現代の家族」レクチャーの仕込み開始

レクチャー「現代の家族」への仕込みを始める。今回はあまり残された時間がないので、とにかく集中してやる。 まず現代のエスプリ420、畠中宗一編『母子臨床再考』をざっと読む。なかなか面白い。平井正三氏が良い論考を書いている。雑誌、精神療法2003年…

『思春期レクチャー』終了、そして山上千鶴子氏

「思春期レクチャー」終了した。非常に熱心に聴講していただき嬉しかった。レクチャーの構成をせっかくだから書き残しておこう。 まず最初に、昔の思春期と今の思春期の社会的意味がどのように異なっていたのか、という歴史的考察を行った。そして、思春期の…

「思春期レクチャー」準備ほぼ終了

「思春期レクチャー」準備はほとんど終わった。結局、読んだ本はほとんどつかわず。宮本常一の『家郷の訓』と無着成恭編の『山びこ学校』に少し触れるくらい。でも頭の中に降り積もった知識や考えは、また活かせるようになるだろう。 夜、ビオンW.R.Bion著『…

「思春期レクチャー」の用意を進める

今日も診療。 インプットはもう終わり。取りそろえた思春期関係の書籍は全て本棚に戻した。あとは金曜日のレクチャーまで、ひたすら構成と内容を練っていく。集中してやる。 とはいえ、机上に何の本もないのは寂しいので、本棚を物色。ふと「読んで、読んで…

小此木啓吾編『青年の精神病理2』を読む

そろそろインプットをやめてレクチャーの中身を考えねばと思っているのだが、勢いでもう少し。 小此木啓吾編『青年の精神病理2』を読んだ。弘文堂刊『青年の精神病理』全三巻のうちの第2巻。1980年刊。1978年に行われたワークショップの内容をもとに構成さ…

マイクル・バリント『スリルと退行』を読む

本日も診療と書類記入の一日。しかし精神科は書類が多すぎるな。 その後、マイクル・バリント著、中井久夫・滝野功・森茂起訳『スリルと退行』。原題はThrills and Regressions。1959年刊。名高いThe Basic Fault(邦題『治療論からみた退行』)が1968年刊だ…

ポイントカード地獄

今日は昼にL.L.Beanへ寄ってオックスフォード・シャツを3枚購入。そこですすめられるがままに、ポイントカードを作ることになったが、カードケースがポイントカードでパンパンになってきてしまった。ドラッグストア、スーパーのライフ、ビックカメラ、ミド…

七五三という儀式の現代的意義

本日は七五三で近くの神社へ。なんというか、「珍妙」としかいいようのない儀式であった。 まず祈祷申込書に氏名、住所を記入した上で、社務所で初穂料とともに提出。すると複写された「伝票」とともに、オレンジ色の「おみやげ引換券」と緑色の「おもちゃ引…

「滝川一廣」に出会う喜び

診療の一日。ぽかぽか陽気で、診察室も暖かかった。 夕刻、インフルエンザ・ワクチンの注射を左上腕に。しんどくなりませんように。 夜、滝川一廣著『新しい思春期像と精神療法』。滝川氏の名前は知っていたが、エランベルジェの『無意識の発見』の訳者リス…

ひたすらインプットの日々

診療の後で、本日は李啓充氏の講演会に参加。「医療崩壊」に関するテーマであった。静かな、そして理性的な語り口が印象的ではあった。主張は理解できたが、勇ましい善悪二元論的な主張であり、その主張の正当性に対して一定の留保をつけながら聴くべきだと…

忙しかった一日

今日は診療やカンファレンスに加え、私事でもばたばたした。それでも時間をぬって、ひたすら本を読む。 笠原嘉著『アパシー・シンドローム』。斎藤環氏の解説は、笠原先生への敬意がこめられた、力のこもったいい文章だった。 川谷大治著『思春期と家庭内暴…

城之内早苗の人身事故によせて

診療が予定より早く終わり時間が大きくとれた。チャンスなので、がしがし本を読みメモをまとめる。 まず精神科治療学増刊号『児童・青年期の精神障害治療ガイドライン(新訂版)』に目を通す。私も、そんなにスタンダードからはずれたことをしていないらしい…

『異文化としての子ども』を読む

診療に追われ、書類記入に追われた一日。 夕刻、福祉事務所職員の方と会って、ケースに関する聴取を受けた。しかしこの職員の方の関心が、生活保護の「適正化」だけに集中していることにひどく落胆した。なるほど、財政が危機状態にあることはわかる。しかし…

ブログの意義を理解しはじめた

今日は何かしたような、しなかったような一日。 日記をはじめてブログというツールの価値がようやくわかってきた気がする。やはりいままでは、他者の目を気にしすぎていた。論文であれば確かに他者の目、あるいは第三者的な視点を十分に内在化する過程が必要…

弘前を巡る

起きるなり部屋のカーテンを開けると窓外に岩木山。頂は黒い雲に隠されてはいるが、その山容はやさしく、雲の切れ間から山裾をまだらに明るくする陽光がドレープのたおやかさを強調している。きっとこの山は、津軽の人たちの心に大きな安定感と誇りを与えて…